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遺言書を見つけたら開けずに検認 勝手に開封しても無効にはならない【2026】

著者:相続問題総合ガイド 編集部
遺言書検認家庭裁判所自筆証書遺言相続手続き

親の部屋を片付けていたら、引き出しの奥から「遺言書」と書かれた封筒が出てきた。中身が気になって、つい開けてしまった。あるいは、開けていいのか分からず手が止まっている。「家庭裁判所に出さないといけないらしい」と聞いたけれど、何をすればいいのか分からない。そんな不安を抱えていませんか。

結論からお伝えします。遺言書を見つけたら、開封せずに家庭裁判所で検認を受けるのが原則です。もし開けてしまっても、それだけで遺言が無効になることはありません。

この記事では、検認とは何か、必要な遺言と不要な遺言の見分け方、開けてしまったときの対処、手続きの流れと費用、検認を待つ間に気をつけることを、順番に解説します。

結論|見つけたら開封せず、家庭裁判所で検認を受ける

検認のルールは、次のとおりです。

項目 内容
誰が 遺言書を保管していた人、または遺言書を見つけた相続人
いつ 親が亡くなったことを知ったあと、遅滞なく
何をする 家庭裁判所に遺言書を提出して、検認を請求する

(出典:e-Gov法令検索「民法」第1004条)

検認には、次の2つの目的があります。

  • 知らせる:相続人に、遺言書があることとその内容を知らせる
  • 記録する:検認の日の時点での遺言書の状態を記録して、偽造や書き換えを防ぐ

(出典:裁判所「遺言書の検認」)

見つけたときにやることは、次の3つです。

  • 1. 開封しない:封がしてあれば、そのまま保管する
  • 2. 遺言の種類を確認する:自筆の遺言か、公正証書の遺言か
  • 3. ほかの相続人に知らせ、検認を申し立てる:遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てる
山田くん山田くん

遺言書があることを、ほかの兄弟に黙っていたらどうなるんですか?

司法書士の先生司法書士の先生

絶対にやめてください。遺言書を隠したり捨てたりした人は、相続人になる資格を失います。自分に不利な内容だと思っても、見つけた遺言書はそのまま家庭裁判所に提出するのが、自分の身を守ることにもなります。

検認が必要な遺言・いらない遺言

すべての遺言書に検認が必要なわけではありません。公正証書遺言と、法務局で保管されている自筆証書遺言は、検認がいりません。
(出典:裁判所「遺言書の検認」)

遺言の種類 見分け方 検認
自筆証書遺言(自宅などで保管) 本人が手書きした遺言。封筒に入っていることが多い 必要
秘密証書遺言 封筒に公証人の記載がある 必要
自筆証書遺言(法務局で保管) 法務局から「遺言書情報証明書」を受け取る 不要
公正証書遺言 公証役場で作成され、「公正証書」と書かれている 不要

(出典:e-Gov法令検索「民法」第1004条、裁判所「遺言書の検認」)

迷いやすいのが、「内容がどう見ても無効そう」な遺言書です。

実際の口コミ実際の口コミ

「母の遺言書が見つかりました。 書かれている内容は以下のみです。遺言書とは言い難い内容です。 「子A、子B、子Cに任せる」(中略) どのような内容であっても、必ず家庭裁判所に持っていかなければならないのでしょうか? 相続に争いはなく、3等分の予定です。 明らかに無効であっても家庭裁判所に持っていく必要はあるのでしょうか。」
(出典:Yahoo!知恵袋、2025年10月3日投稿/質問ページ)

「時間も手間もかかるから、自分たちで話し合ったほうが早い」と考える気持ちは自然です。しかし、民法は遺言書の内容によって検認を省いてよいとは定めていません。自宅で保管されていた自筆の遺言であれば、内容にかかわらず検認を受けるのが原則です。

また、相続に関する遺言書を破棄したり隠したりした人は、相続人となることができません。
(出典:e-Gov法令検索「民法」第891条)
今は争いがなくても、あとで「遺言書を握りつぶした」と言われないために、検認を受けておくほうが安全です。

山田くん山田くん

相続人全員が「遺言とは違う分け方でいい」と合意していても、検認は必要ですか?

司法書士の先生司法書士の先生

はい、遺言書が見つかった以上は検認を受けてください。検認を受けたうえで、相続人全員が合意すれば、遺言と違う内容で遺産分割をすることも一般的に可能です。検認は「遺言どおりに分けなさい」という手続きではなく、遺言書の存在と状態を記録する手続きだからです。

うっかり開けてしまったら

封がしてある遺言書は、家庭裁判所で相続人の立会いのもとでなければ開封できません。
(出典:e-Gov法令検索「民法」第1004条)
家庭裁判所の外で開封した人や、検認を受けずに遺言の内容を実行した人には、5万円以下の過料が科されることがあります。
(出典:e-Gov法令検索「民法」第1005条)

やってしまったこと 遺言の効力 リスク
封のある遺言書を開けてしまった 無効にはならない 5万円以下の過料のおそれ
検認を受けずに遺言どおり手続きを進めた 無効にはならない 5万円以下の過料のおそれ
遺言書を隠した・捨てた ― 相続人になる資格を失う

(出典:e-Gov法令検索「民法」第891条・第1005条)

開けてしまった場合でも、遺言の効力そのものは失われません。大切なのは、それ以上触らず、元の封筒と一緒にそのまま家庭裁判所に提出することです。中身を書き換えたと疑われないよう、開けた日や状況をメモしておくと安心です。

山田くん山田くん

開けたことを正直に言ったら、すぐに5万円払わされるんですか?

司法書士の先生司法書士の先生

必ず過料が科されるわけではありません。うっかり開けてしまった場合、実際に過料を科されるケースは多くないとされています。隠さずに正直に伝え、速やかに検認を申し立てることが一番です。開けたことを隠すほうが、偽造を疑われる原因になります。

検認は「有効」のお墨付きではない

誤解されやすいのですが、検認は遺言が有効か無効かを判断する手続きではありません。
(出典:裁判所「遺言書の検認」)
検認を受けた遺言でも、法律の要件を満たしていなければ無効になりますし、反対に無効そうに見えても検認を受けること自体はできます。

実際の口コミ実際の口コミ

「遺言書に署名がありません 5月に母親が亡くなり銀行口座の相続のため遺言書の検認申し立ての書類を作成しようと思い気付いたのですが遺言書をよく見ると日付、押印はあるものの署名が無いのです(中略) 押印はあるものの署名の無い遺言書というのは無効になってしまうのでしょうか」

ベストアンサー:「なお、署名のない遺言書であっても、形式上は家庭裁判所で「検認」を受けること自体は可能です。」

質問者のお礼:「一応検認には出してみました」
(出典:Yahoo!知恵袋、2025年9月21日投稿/質問ページ)

この質問者のように、有効かどうか不安な遺言書でも、まずは検認に出すのが正しい対応です。自筆証書遺言が有効になるための要件は、次のとおりです。

要件 内容 よくある不備
全文を自分で書く 本文は手書き パソコンで作成した本文
日付を自分で書く 年月日が特定できる 「令和○年○月吉日」
氏名を自分で書く 遺言者の署名 署名がなく、押印だけ
印を押す 認め印でもよい 押印がない
財産目録 パソコン作成や通帳のコピーでもよい 目録の各ページに署名・押印がない

(出典:e-Gov法令検索「民法」第968条)

要件を満たしていない遺言は、無効になる可能性があります。その場合は、相続人全員で遺産分割協議をして分け方を決めることになります。遺言の有効性を争いたい場合は、検認とは別に、弁護士に相談してください。

山田くん山田くん

検認で裁判官が「この遺言は無効です」と教えてくれるわけではないんですね。

司法書士の先生司法書士の先生

そのとおりです。裁判官は遺言書の形や日付、署名の有無などを確認して記録するだけで、有効・無効の判断はしません。有効性に疑問がある場合は、相続人同士で話し合うか、必要に応じて裁判で争うことになります。

検認の流れと費用

検認の申立てから手続き完了までの流れは、次のとおりです。

項目 内容
申し立てる人 遺言書を保管していた人、または遺言書を見つけた相続人
申し立てる先 遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
費用 遺言書1通につき収入印紙800円分+連絡用の郵便切手(金額は裁判所ごとに異なる)
主な必要書類 申立書、遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本
検認期日 裁判所から相続人全員に通知が届く。全員がそろわなくても検認は行われる
当日 申立人が遺言書を持参し、出席した相続人の立会いのもと裁判官が開封・確認する
検認済証明書 遺言書1通につき収入印紙150円分で申請する。預金の解約や登記に必要

(出典:裁判所「遺言書の検認」)

戸籍謄本の代わりに「法定相続情報一覧図の写し」を提出できる場合もあります。
(出典:裁判所「遺言書の検認」)
申立てから検認期日までは、裁判所の混み具合にもよりますが、1〜2ヶ月ほどかかることが多いとされています。戸籍集めにも時間がかかるため、遺言書を見つけたら早めに動き始めましょう。

山田くん山田くん

戸籍を全部集めるのが大変そうです。自分でできるものなんですか?

司法書士の先生司法書士の先生

自分でもできます。本籍地の役所で、遺言者の出生から死亡までの戸籍を順番にたどって取り寄せます。本籍地が何度も変わっている場合は手間がかかるため、司法書士や弁護士に申立てごと依頼する方法もあります。

検認を待つ間に注意すること

検認の手続きを進めている間も、相続のほかの期限は止まりません。とくに注意したいのが、相続放棄の期限です。

期限 内容 検認との関係
相続を知ってから3ヶ月 相続放棄・限定承認をするかを決める 検認を待っていても止まらない
相続を知った翌日から10ヶ月 相続税の申告・納付(必要な場合) 検認を待っていても止まらない
遺留分の侵害を知ってから1年 遺留分侵害額請求 検認で遺言の内容を知ったときから数え始めることが多い

(出典:e-Gov法令検索「民法」第915条・第1048条、国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」)

親に借金がありそうな場合は、検認の結果を待たずに財産を調べ、3ヶ月以内に放棄するかどうかを決める必要があります。期限に間に合わない場合は、家庭裁判所に期間の延長を申し立てることもできます。
(出典:e-Gov法令検索「民法」第915条)
ほかの期限は「相続手続きの期限一覧」で確認できます。

遺言の内容が「長男に全財産を相続させる」など、自分の取り分がほとんどない場合は、遺留分を請求できる可能性があります。詳しくは「遺留分侵害額請求は「知ってから1年」」をご覧ください。

山田くん山田くん

遺言の中身が分からないと、相続放棄するかどうかも決められない気がするんですが…。

司法書士の先生司法書士の先生

その場合でも、3ヶ月の期限は待ってくれません。遺言の内容よりも先に、借金を含めた親の財産を調べることが大切です。どうしても判断できないときは、期限内に家庭裁判所へ期間の延長を申し立ててください。

専門家に相談すべきケース

検認の申立ては自分でもできますが、次のケースでは司法書士や弁護士への相談をおすすめします。

相談すべきケース 相談先の目安 理由
本籍地が何度も変わっていて、戸籍集めが大変 司法書士 戸籍の収集から申立てまで任せられる
遺言書の筆跡が親のものか疑わしい 弁護士 遺言の無効を争うかどうかの判断が必要
遺言の内容で自分の取り分がほとんどない 弁護士 遺留分侵害額請求の期限が1年と短い
遺言書を開けてしまい、ほかの相続人から疑われている 弁護士 経緯を説明し、争いを広げない対応が必要
親に借金があるかもしれない 弁護士・司法書士 相続放棄の3ヶ月の期限に間に合わせる必要がある
山田くん山田くん

検認のためだけに専門家に頼むのは、大げさじゃないですか?

司法書士の先生司法書士の先生

争いがなく、戸籍もそろえやすいなら、自分で十分に対応できます。専門家が必要になるのは、遺言の内容や有効性をめぐって争いになりそうなときです。検認のあとに何をすべきかを見通すために、一度だけ相談しておくのも一つの方法です。

よくある質問

検認には相続人全員が出席しないといけませんか?

出席は義務ではありません。申立人以外の相続人が出席するかどうかは各人の判断に任されており、全員がそろわなくても検認は行われます。
(出典:裁判所「遺言書の検認」)

検認を受けないと、預金の解約はできませんか?

自筆証書遺言で手続きをする場合、遺言書に検認済証明書が付いていることが必要です。
(出典:裁判所「遺言書の検認」)
金融機関や法務局では、検認済証明書のない自筆証書遺言では手続きを受け付けてもらえないのが一般的です。

遺言書が2通見つかったら、どちらを使いますか?

前の遺言と後の遺言の内容がぶつかる部分は、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。
(出典:e-Gov法令検索「民法」第1023条)
自宅保管の自筆証書遺言であれば、2通ともそれぞれ検認を受けてください。


本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスではありません。具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。

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